■始まり
ホウネットでは2011年「つながりマップ」作成の際に、子どもたちの居場所「ポトスの部屋」を見学しました。また、2013年総会では「子どもの貧困とこの国の未来」(講師:山野良一氏)、2015年総会では「どの子も学べる社会を目指して」(講師:青砥恭氏)を講演テーマに据え、子どもの貧困と学習支援について学びを深めてきました。
■寺子屋学習塾
2014年、名古屋市が始めた学習支援事業を北医療生活協同組合が受託し、中学生を対象とした無料塾「寺子屋学習塾」が始まりました。ホウネットも会場提供やサポーターの呼びかけなど全面的に協力をしました。
寺子屋学習塾平安通教室は、昼間は相談センターが使用している部屋を利用して、生徒8名から発足しました。また、上記の通り、サポーターの募集にホウネットが協力し、中心メンバーとしてホウネットの会員が寺子屋を支えました。
■子どもたちと家庭
寺子屋へ通う子どもたちは、自分と同じ境遇の子どもに敏感です。「こういうところがあるから、申し込んで」と学校になじめず、校区を超えて群れていた子どもたちに上級生が声をかけ、より困難な家庭の子どもが一度に通うようになりました。
ヤングケアラーの子どもたちは幼い子どもの世話を担っていることが多いため、「一緒に連れてきていいよ」と声を掛けます。その子たちが連れてきた幼い子どもと上手に遊ぶサポーターさんにも助けられました。
夏休みに「ちゃんと食べてなくて痩せちゃった」という子どものつぶやきが「子ども食堂」の発足につながりました。
むづかしい家庭と対峙しなくてはいけないこともありましたが、「弁護士さんたちがやっている塾だから、下手な脅しはできない」と言われたこともあり、北法律事務所・ホウネットに守られている安心感がありました。
始まりから10年を経て「あの子たちはどこへ行ったの」という声がでるほど、困難な家庭とのつながりが薄くなってきました。地域に出かける必要性を感じています。
■寺子屋を卒業しても
高校生なると毎日は通ってきませんが、寺子屋を卒業した子たちは定期テストや長期休業中には顔をみせてくれます。「赤点・追試」とひやひやさせる子もいますが何とか頑張って高校を卒業してほしいです。
中学生になるまで親に十分愛情をかけられてこなかった子は、思春期のこの時期様々な危機に陥ります。拒食や自傷などつらさを見ているしかできないけど、「そばにいるからね」とメッセージを送ります。
■平安昼塾
2017年12月、高校受験を希望する子どもの支援と小学生の学習支援を目的として、平安昼塾を発足させました。2家庭6名から始まり、一時は6家庭10名の子どもが通っていました。現在は3家庭5名が通っています。
不登校を長く続け、読み書きのできない子どもに初めて出会いました。足し算引き算がスラスラできない、九九があやふやなどに付き合い、最初から通っている子どもが中3で寺子屋に在籍し、きょうだいを含め家族ぐるみの付き合いとなっています。
ホウネットは地域の子ども支援をめざす団体にも協力をしています。
次のような取り組みがあります。
●わいわい学びのひろば
2019年、北医療生協・病院ブロックが小学生の学習支援を目的として開設しました。毎週月曜日15時から17時、市営住宅の集会室で開催しています。宿題や教科書のわからないところを中心に学習しています。
●はじめの一歩教室
2020年8月、「憩の家」で始まった自主夜間中学は、東町交流センターと大曽根・草の根教室に場所を移し、土曜日10時から18時まで開講しています。また、サテライト教室(金山)では平日にオンラインでの学習を行っています。
5名から始まった登録者も今では300名を超え、支援者は75名となりました。外国にルーツを持つ学習者が主ですが、家の事情で学校に通えなかった高齢者が読み書きを学び、自分で本を読める喜びに接すると心が熱くなります。
2021年4月に高校夜間部に進学した学習者は来年卒業です。それぞれの進路を模索し、夢の実現に向け頑張っています。
2025年4月に発足する名古屋市立「なごやか中学校」は名古屋市で初めての夜間中学です。その開校に「一歩教室」は大きな影響を与えました。
●ぱれっと
2023年6月、東町交流センターで不登校の居場所「ぱれっと」が開所しました。
一人から始まりましたが、今では数名が毎週木曜日に通ってきています。手作り昼食を楽しみにゆったりとした時間を過ごしています。餅つきや流しそうめん、組木の椅子づくりなどのイベントもあります。
(文責 本田)
ホウネット事務局(弁護士法人名古屋北法律事務所内)