くらし支える相談センター ~ホウネットの相談活動の歩み~ 

 

 ■手さぐりの相談活動時代

「暮らしと法律を結ぶホウネット(ホウネット)」結成以来、会員には、生活保護、年金、医療・介護、保育、教育など現役時代に様々な現場経験のある人々がいました。

そういった人々を中心に、ホウネットがかかげる目標の一つである”社会貢献活動”として、困っている人の中には、現在の制度にさえ繋がれない人たちがいる、こうした人々に対して自分たちの力を生かすことができないかが、話し合われてきました。

2007年に名古屋北法律事務所が現所在地に移転し、事務所スペースの拡大を機に、2008年に「なんでも相談会」を同事務所の会議室で3回開催(相談者7名)するなど、いくつかの経験を経ました。2010・2011年には、同事務所のある地域(北区)の諸団体と協議、共催による「法律講座・なんでも相談会」の開催などを模索し、「くらしの相談」をホウネット運動の重要な活動として位置づけ取り組んできました。

■くらし支える相談センター開設

 

1.2010年、名古屋北法律事務所開設10周年を翌年に控え、「10周年記念事業」の一つとして、北区の協同・共同団体が築き上げてきた、保育、障がい者、教育、医療、介護等の施設及び社協など公的な施設などをマップ化し、地域の人々の利用ガイドとして「つながりマップ」を作成することになりました。

 しかし、作成をすすめるなか、マップの有効利用にはその案内役がいるとのことから常設の相談センター設立構想が浮上し、センター開設の決断に至りました。

2011年7月1日、「くらし支える相談センター」の開設をめざし、名古屋北法律事務所の弁護士、所員、ホウネット会員は総出で、ポスター貼り出し、「つながりマップ」やチラシを街頭や団地に配布しました。開設直後の大曽根駅周辺での宣伝行動には、NHKの取材があり、後日昼番組で放映され、これが大きな反響を呼び、県内外からの電話が鳴りやまないという好スタートとなりました。

 

2.相談センターは今年で開設13周年となります。この間、生活保護296件、医療介護133件、住宅90件などの相談があり、総件数は1,531件となっています(2024/9現在)。ただ、件数の推移は、2013年の216件をピークに減少し、2021年以降は100件を切り、低迷しています。社会の相談が減ったわけではなく、相談者の掘り起こしには新たな工夫が求められています。

 なお、相談員体制は、ホウネット会員、名古屋北法律事務所の弁護士・所員がボランティアで行っています。ボランティアの方々には、この13年間、そして今後も含めて、この場で深く感謝いたします。最近は各分野の専門家の相談員も増え、生活保護、年金など一部の相談窓口を曜日で固定ができ、相談者からの利用が増えてきています。

 

3.相談活動、相談体制については、この13年間のうち、前半は、相談活動をすすめている他団体との交流会、ホウネット会員の学習会・研修会、相談センターの運営委員会などが頻繁に開催されていましたが、後半は、生活保護など課題別の学習会、研究会が随時開催されるにとどまっており、新たな試みも必要になっているかと思います。

 

■  今後の改善課題と構想

 相談センターはウィークデーの午後1時から午後5時が相談時間となっています。

 相談者の「せめて通常業務のように午前も含めて終日電話がかけられないか」との声にも多々遭遇します。対応時間は今後も課題となっています。

 

 ところで、相談センターの発足当初、相談センターを地域団体によるNPO法人化にする構想が追及されていました。その過程で地域団体と懇談を重ねるなか、まずは地域共同で出来ることから始めようとなり、当時すでに地域社会で重要な課題としてあった「学習支援」、「子ども食堂」の取り組みが開始しました。他のページでの報告の通り、学習支援や子供食堂が北区の上飯田、味鋺、黒川地域で実現するなど、大きな前進もありました。

 

 こうした地域共同運動が前進するなか、その恒常化をめざす、北区社保協(社会保障推進協議会)設立の構想も取りざたされており、相談センターのNPO構想を発展させたものとして、検討を深めて行く必要があろうかと思います。

(文責 松岡)